【映画レビュー】『アングスト/不安』1983年

『アングスト/不安』1983年

『アングスト/不安』1983年 あらすじ

私生児として生まれ育ったヴェルナー・クニーセクは、16歳のときに母親をめった刺しにして逮捕されますが、たった2年で釈放されます。

出所したその足で、突然他人の家を訪れ、その家の老女を撃ち殺すヴェルナー。しかし精神障害を主張し、またまた8年半で釈放されることになります。

こんなやつが世に放たれてしまう……。

そして釈放前、職探しのために3日間刑務所を出ることを許されるのですが、湧き上がる殺人衝動を抑えられなくなったヴェルナーは、獲物を探し始めます――。

【レビュー】【ネタバレなし】非常に魅力ある主人公、だが映画としてはふつー

暴力映画が大好きすぎるわたくし、有休を取って公開初日に観てまいりました。

『アングスト/不安』トリッチ☆ジャッジは……







ふつーーー!!(笑)

以下、否定とまではいかないけれど、絶賛レビューではないので、
「そういうの読むとわたしムカついちゃうんだよね!!」
という御仁は、ここで離脱お願い致します。

なんだろなーーーーめちゃめちゃ前のめり気味に、興奮する気まんまんで挑みまして、多少のことはあってもノリッノリで鑑賞するつもりだったんですけれど、ちょっとノリそびれたな、というのが正直な感想です。ものすごくいい!と思った点もいろいろあるんですけれどね。

先ずは、最高やな、と思った点。

主人公を演じるアーウィン・レダー氏がスゴすぎる。

控えめに言ってマジキチ。

控えめに言ってマジキチです。素晴らしい。
痩せ型で、いかにも神経質そうな雰囲気。
ギョロリとした大きな眼と、激情に歪める口元がものすごく印象的。

「宇宙人がオレに殺せと命じた」とか言うタイプの狂人ではありませんが、明らかにあたまのネジが何本もぶっ飛んでいてふつーじゃありません。

湧き上がる殺人衝動の赴くままに、相手なんて誰でもいいし、金なんて興味ないし、捕まることなんか更に怖くない。

こんなやつにロックオンされたら、もうどうにもならないことでしょう。

殺人衝動の表現も素晴らしい。まさに突き上げるかの如き衝動。

「オレはこの町を知らなかった。10年も住んだが、ムショに入っていたので、何処へ行けばいいのかさっぱり分からなかった」

で、たまたま見つけたカフェに潜り込み、ウインナーをむさぼり喰いながらカフェの客たちを舐めるように凝視するんですが、このシーンがスゴい。

画像はラストにもっかいカフェにきたシーンだけど感じは伝わるかな

眼、膨らんだ頬、口元を、こんな角度から映すんだ、って感じの独特のアングルで捉えます。いいね! 咀嚼する口元から、欲望がダダ漏れになっている。異様な雰囲気に息を呑む店員、そしてお客たち。

でも、カフェの中で獲物候補にうまく接触出来なかったので、フラフラと外に出て、問題の家に忍び込んでしまう訳ですが、衝動のままに突っ走っちゃうから、全然思い描いていた通りにいかない。

それで非常に慌てたり、ヘマをしたり、激昂したり、この人の殺人は、非常にとっ散らかった印象を受けます。このとっ散らかりっぷりが、スゴいリアリティです。

次に、映し方が非常に独特。たぶん枠みたいなので主演俳優のからだにカメラを固定して撮ったと思われるシーンがスゴい。

またあるときは、ヴェルナー自身の目線で見せて、殺人者から必死に隠れようとする被害者を、「どこ行ったーーー出てこーーーい!」と追い回す臨場感で、ゾクゾクさせてくれます。

獲物を探して他人の家をうろつく!

被害者の中では、車椅子のおっさんが哀れすぎて印象的でした。
被害者の家族構成は、婆さん、婆さんの娘と息子の3人ですが、おっさんは知能にも問題があるらしい。

ヴェルナーが忍び込んだとき、婆さんと娘は買い物に出ていて留守でした。
で、ヴェルナーは最初におっさんに出くわす訳ですが、おっさんは口の端から緑色の痰みたいなものを垂らしながら、彼に「パパァ」と呼びかけます。そして婆さんと娘が戻り、暴力の嵐が吹き荒れ始めても、おっさんはとうとう何が起こっているのか理解出来ぬまま……
繰り返されるおっさんの「パパァ」という虚ろな声が、耳にこびり付いて離れません。

1つ1つのシーンが、暗くて陰惨で、非常に美しい。
そして衝動に突き動かされるままに、何の抑止力もなく殺戮に身を任せてしまう殺人者というものは、これ以上なく描き切れていたと思う。芸術性も、非常に高い。

陰惨なガレージ

それなら何でノリ切れなかったのか。

うーーーーむ。なんだろな。映画として、そんなに面白くなかった、と、つい感じてしまったことが大きいかもしれない。

本当に申し訳ない(‘A`)

好きかキライかで言えば、めちゃめちゃ好き。
でも、正直に申し上げてしまえば、ナレーションが多すぎて「ありゃ、ナレーションでぜんぶ説明しちゃうん?」となってしまうんだよなーーー。

冒頭、出所して婆さんを突然撃ち殺すまでの緊迫感はスゴい。
でもそこからタイトルが出るまで、かなり時間を割いて、ナレーションと過去の写真で犯人の生い立ちが語られる。イントロダクションなっげー!と先ずここで感じてしまう。

で、劇中の犯人の独白、なかなか激しくてよろしいんだけど、なんだかな。とにかく延っ々とナレーションな訳です。

出所する → うろつく → カフェで綺麗なお姉さん2人組を見て昂りに昂ぶる → 問題の家を見つけて忍び込む → 大暴れ、って流れをリアルに映していくのですが、そして俳優さんの演技もものすごいですが、延々とナレーションがかぶってきて説明しちゃう。

殺戮しながら、過去のいろんなことがヴェルナーのあたまに浮かぶので、それを説明してるんだけど、ずーーーっとナレーションされると、案外入り込めないもんだね!と感じてしまった。

わたしは元々映画よりも文学が好きな人間で、文字によって喚起されるイメージを、あたまの中で思い描きながら物語を堪能するのがかなり好きです。

でもなんだろな、『アングスト/不安』は、役者さんの鬼気迫る演技=映像と、延々と流れている言葉=ナレーションが、うまく化学反応を起こしていないように感じました。

虐殺の最中に浮かぶ過去のあれこれは、やっぱり映像でやるべきじゃなかったかなーーーーー。
とにかくアーウィン・レダー氏の吹き荒れる暴力の演技がスゴすぎるので、もっとこう、映像で、何もかも伝わってくるように作ってほしかったかも、と、僭越ながら思った次第です。

わたしがあたま悪すぎなせいですが、ずーっとナレーションがかぶってくるので、二重に処理しなきゃならない感じで、集中力が削がれる感じ。
どうもここがノリ切れなかった原因かな、と思っております。

アーウィン・レダーのマジキチっぷり「のみ」に、もっと持ってかれたかったなー!というのが正直な感想です。

アーウィン・レダー素晴らしすぎるし、題材もめちゃめちゃ大好物なのに、残念!!

観てきたかたと、意見を交換出来れば、と存じます。

け、ケンカはしたくないので、お手柔らかに願います!! しかし率直な意見をお聞かせ下さい!!

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